未来へと続く航海
飛鳥クルーズ就航30周年記念、アニバーサリークルーズレポート

CRUISE STORY
クルーズストーリー
2021.12.27

船長が贈った、乗客への粋なプレゼント

 

10月28日。初代飛鳥が1991年に初めての船出をしてからちょうど30年目の朝を迎えた。カーテンをさっと開けると、窓の外には三宅島が浮かんでいた。飛鳥Ⅱは三宅島と御蔵島をぐるりとめぐる。御蔵島の断崖に、幾筋もの白い流れが見られた。これは定期船の航路ではお目にかかれない白滝だという。伊豆諸島に沿って北上する終日航海。朝のうちはスッキリしない空模様だったが、やがて青空が広がった。

 

午後は新島のすぐそばを航行。どことなく日本離れした風景の白い断層が近づいてくる。白ママ断崖という。これもまた白滝と同じくクルーズ客船でしか眺望できない絶景だ。記念すべきアニバーサリークルーズの指揮を執る小久江尚船長が、就航記念日に乗船した人々に贈った粋なプレゼントだったのかもしれない。

 

新島の白ママ断崖を望む。一部分だけ真っ白で、その景観に思わず見入る
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新島の白ママ断崖を望む。一部分だけ真っ白で、その景観に思わず見入る

船内は、就航30周年を記念したイベントが花盛りだ。多くの乗客が楽しんでいたのが謎解きウォークラリー「飛鳥の歴史」。これは問題冊子『飛鳥の歴史』にあるクエスチョンを、「歴代プロダクションショーの紹介」や「歴代船長のカクテル紹介」といったコーナーをめぐりながら解いていくというもの。飛鳥クルーズ30年の軌跡をたどりながら、すべての問題を解答すると、あるメッセージにたどりつくという趣向だ。

 

ビンゴ大会では就航30周年記念品として、特別にクルーズ券のプレゼントが用意されたこともあり、会場であるハリウッドシアターは熱気に包まれていた。

 

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歴代船長のカクテル紹介。どれがどの船長のものか、わかるだろうか
ビンゴの様子。間隔をあけて着席しており、感染症対策も万全だ

メインイベントは「30年を振り返るキャプテントークショー」。幡野保裕・第5代船長と中村大輔・第8代船長の両名を迎え、クルーズコーディネーターの江頭紀光子さんが進行する。50分で30年を語りつくすのは難しいが、江頭さんの見事な進行で無駄のない展開である。幡野船長は1997年の香港返還クルーズと1999年のミッドウェイ初寄港へのチャレンジを思い出のクルーズに挙げ、中村船長は2009年ワールドクルーズでの皆既日食観測のウラ話を披露。50分が楽しくあっという間に過ぎていった。

キャプテントークショーの様子。過去のロングクルーズの思い出が次々と
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キャプテントークショーの様子。過去のロングクルーズの思い出が次々と

新たな設備「アスカビジョン」に現れる温かいメッセージ

 

就航30周年を前にした2020年2月、飛鳥Ⅱはシンガポールで大改装を行った。その目玉のひとつが露天風呂の設置だ。夕方、初めて露天風呂に行ってみた。湯船に浸かりながら眺める夕陽に照らされた伊豆諸島と、まん丸とした姿で水平線に沈む落陽は見事だった。そして30周年を祝うかのように、富士山のシルエットがくっきりと姿を現したのだった。

 

大改装でアスカプラザに大画面LEDディスプレイ「アスカビジョン」も登場した。この日、ディナーの開始前後の30分間、歴代船長の現在のショットおよびお祝いとお礼のメッセージがアスカビジョンに流れた。船長だけではなく、第9代ホテルマネージャーの川上隆誌さん、元クルーズディレクターのボブ田中さんといった飛鳥クルーズを陰に陽に支えてきた方々のメッセージも添えられる。リピーターと思われる女性が、アスカビジョンに流れる約10分の映像を熱心に見つめていた。

フォーマルな装いに身を包んだ乗客が、次々とメッセージが明かされるアスカビジョンに見入る
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フォーマルな装いに身を包んだ乗客が、次々とメッセージが明かされるアスカビジョンに見入る
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