ニッポン来航客船探訪記
セレブリティ・ミレニアム/コスタ・ベネチア/バイキング・オリオン

船名:コスタ ベネチア
(船社名:コスタクルーズ)

アジアで体感できる、洋上の“ベニス”

 

4月29日、東京港に姿を現したコスタクルーズの「コスタ ベネチア」は、今年3月に就航したばかりの新造船だ。53日間に及ぶデビュークルーズの終着地として入港し、日本初お目見えという記念すべき来航となった。

 

大きさは13万5500トンと、同社の客船の中では最大。船内は名前の通り、イタリア・ベニスの街並みを巧みに再現していた。

 

まず目に入ったのは、サン・マルコ広場をイメージしてデザインされたメインロビーだ。3層吹き抜けの広々とした空間には、実際の広場にある「聖マルコの円柱」を再現したモニュメントがそびえ立っていた。

メインロビー「ピアッツア・サンマルコ」中央には聖マルコの円柱を模したモニュメント、その下にはバーがありにぎやかだ
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メインロビー「ピアッツア・サンマルコ」中央には聖マルコの円柱を模したモニュメント、その下にはバーがありにぎやかだ

 

「対になる聖テオドーロの円柱はどこにあるのか?」と疑問に思ったが、カジノの中央に、円柱頂上にある聖テオドーロの像をデッキ2層分の高さで再現したモニュメントが設置されていて感心した。

4デッキ中央のカジノには見事に再現された聖テオドーロの像も
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4デッキ中央のカジノには見事に再現された聖テオドーロの像も

 

ベニスといえば“ゴンドラ”を思い浮かべる人も多いだろう。そんな期待に応えるように、メイン・ダイニングとラウンジには実物大のゴンドラが据え付けられていた。まさにイタリアの空気が感じられる場所なのだが、なんとこれらのゴンドラはレプリカではなく、実際にベニスにある造船所で、伝統的な手法を用いて造られた“本物”であるというから驚いた。

 

しかも、ラウンジのゴンドラでは、VRゴーグルを着用することで、ベニスの運河をめぐるクルーズを仮想的に体験できるというのだ。細部にまで作り込まれた再現力に魅了されるばかりだ。

2層吹き抜けのメイン・ダイニング「カナル・グランデ」の中央には、運河を模した空間が用意され、ゴンドラが飾られている
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2層吹き抜けのメイン・ダイニング「カナル・グランデ」の中央には、運河を模した空間が用意され、ゴンドラが飾られている

 

イタリアの旅で重要な「食」もこの船で堪能できる。ミシュランの三つ星を獲得したシェフ、ウンベルト・ボンバーナ氏が監修するスペシャリティー・レストラン「リストランテ カサノヴァ」では本格的なイタリア料理を。アジアをめぐることから、鉄板焼きや火鍋などが楽しめるレストランもある。

10デッキのプールエリア前方にはバーとジェラートのカフェが
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10デッキのプールエリア前方にはバーとジェラートのカフェが

 

同船は上海を起点とする航路に就航する前、4月29日から5月6日に東京発着で台湾・鹿児島をめぐるJTBのチャータークルーズを実施した。10連休中に行う貴重な日本発着クルーズということもあって即完売となったこの航海には、子供700人を含む家族連れなどで大にぎわい。多彩なレストランとイタリアの雰囲気満載の充実したエンターテインメントのおかげで、この航海は大盛況だったそうだ。

 

私もこのまま乗っていられたら……と何度も夢想しながら、洋上の“ベニス”を感じていた。

シアター「テアトロ・ロッソ」は、バーを備えるだけでなく、カウンターで注文した飲み物をシートまで届けてくれる
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シアター「テアトロ・ロッソ」は、バーを備えるだけでなく、カウンターで注文した飲み物をシートまで届けてくれる
SHIP DATA

船名:コスタ ベネチア
(コスタクルーズ)
総トン数:13万5500トン
乗客定員:5,260人/乗組員数:1,278人
※上記は取材時(2019年4月29日)のものです。施設等変更になっている可能性があります

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