ニッポン来航客船探訪記
セレブリティ・ミレニアム/コスタ・ベネチア/バイキング・オリオン
(船社名:バイキング・オーシャン・クルーズ)
北欧流の心地良さが満ちる
シンプル&リッチな中型船
ノルウェー拠点のバイキング・オーシャン・クルーズのスタイルは、他社とは一線を画す。日本に初来港した第5船「バイキング・オリオン」を訪ねた。
4年間に次々と就航させた6隻のシリーズ船は、創業者が「居心地のよい客船」を追求して生まれた。すべて同型船で、しかも船内レイアウトまで同じ。どんな船なのか、とても興味があった。
船内はシンプルな心地良さを愛するノルウェーらしさに満ちていた。例えば、全天候型プールに隣接するラウンジ「ウインター・ガーデン」。ノルウェーの森をテーマにした空間に、ガラス張りの天井から陽光が降り注ぐ。その日差しはまるで木漏れ日のよう。
アトリウム周辺には居心地の良いリビングスペースがたっぷり。レセプションはなく、コンシェルジュ・スタイルでチェックインできる。船内のあちこちに座り心地の良い、さまざまなデザインのいすが配されているのも印象的だ。ノルウェー伝統の刺繍が施されたいすが愛らしい。まるで本物の炎がゆらめくような暖炉のレプリカもあり、心が落ち着く。
カジノや派手なショーはなく、子供用プールもない(18歳未満は乗船不可)。レストランは大空間ではなく、親しい人とゆったり過ごせる工夫がされている。クルーのサービスレベルは高く、心地良い距離感で過ごせそうだ。
食事時のワインやビールは料金込み。乗船地または下船地では1泊停泊し、各寄港地では無料のツアーが1本以上ある。サービスは充実しているが、シャンパンやキャビアが次々出てくるような豪華さはない。この船では、「非日常を楽しむ」ことよりも「居心地の良さ」が優先されるのだろう。シンプルだが心豊かに過ごせる、北欧流の新しいクルーズ・スタイルを見た気がした。
どのコースもすぐに完売する人気ぶりで、予約の遅い日本人が空室を見つけるのは至難の業だが、2023年までにさらに同型4隻が就航することから、乗船のチャンスが増えると期待したい。ノルウェー流のクルーズを満喫するなら、北欧クルーズも良さそうだ。
船名:バイキング・オリオン
(バイキング・オーシャン・クルーズ)
総トン数:4万7842トン
乗客定員:930人/乗組員数:545人
※上記は取材時(2019年5月4日)のものです。施設等変更になっている可能性があります