暮らすように旅する「飛鳥Ⅱ」
のんびり秋旅クルーズ、瀬戸内の島を眺めて美食と健康を

暮らすように旅する「飛鳥Ⅱ」 のんびり秋旅クルーズ、瀬戸内の島を眺めて美食と健康を
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2023.02.27
船上の日々が日常になるのは長めのクルーズならではの魅力。
長期航海を待ちわびる人も多いはずだが、今回の秋旅は
余裕を持たせた9日間で、久々に長旅の雰囲気を堪能できた。
写真・文=高橋敦史
夕日に照らされる飛鳥Ⅱの隣に小豆島からのフェリーが着く。船旅風情あふれる高松港で

ここまでの約3年は世界中の誰もが自由な旅を楽しめなかったけれど、ついに復活の兆しが見えて飛鳥Ⅱにも少し長めのクルーズが増えてきた。今回はそのひとつ、昨年11月に催された「のんびり秋旅」をルポしたい。

 

横浜発着で瀬戸内海の高松へ、そこから踵を返して新宮や四日市へと寄る9日間。終日航海が3日ある、文字どおりののんびり旅だ。

 

タイトルに派手なテーマがないから魅力に欠ける? という心配は無用で、結論から言えば、むしろ「のんびり」だからこそよかった。これぞ僕らが待ち望んだクルーズだという喜びに満ちた、実に有意義で実りある旅だった。

 

それは決して筆者だけの感想ではなく、30日以上の長期クルーズに親しんできた飛鳥Ⅱのなじみ客も同じはず。過去のロングクルーズ経験者も多くいて、優雅なひとときを楽しんでいた。

 

「ようやく、という感じですよ」となじみのひとりが満足げに笑った魅惑の旅の詳細を、たっぷりと紹介していこう。

 

●穏やかな瀬戸内海でふと気づく、健康的なのんびりクルーズ

 

横浜を定刻17時に出航した飛鳥Ⅱ。眼下に望むタグボートも、ベイブリッジとその向こうの富士山も、みな夕暮れの橙から紫へのグラデーションの中にあった。

 

出航からこんなきれいな景色ってあったかな、と思わせる美しさが予感させた通り、その後の太平洋の西進も順調だった。2晩目のインフォーマルはにぎやかというよりも、大人の落ち着きを醸す上品な華やかさ。着飾って集まる乗客からは、そんな旅慣れた雰囲気が見て取れた。

往路は西行き。船首側に夕日が沈む
CRUISE GALLERY
往路は西行き。船首側に夕日が沈む
インフォーマルの晩のアスカプラザは華やかながらも落ち着いた雰囲気
ハスキーボイスで乗客を魅了した秋元順子さんのコンサート
CRUISE GALLERY
ハスキーボイスで乗客を魅了した秋元順子さんのコンサート

日程には余裕がある。当初は3日目の朝に紀伊水道に入って夕方の高松着だったところ、前日の日中に放送が入った。声の主は小久江尚船長だ。

 

「航路上の二艘引き漁の時間変更の連絡があり、予定を早めて日の出前に大阪湾へと入ります」。

 

当初は紀伊水道から淡路島、大阪湾、明石海峡大橋の眺めを日の出以降にと目したようだが、すかさず代案を組んでくれた様子。いわく、高松をいったん西へ通り過ぎて瀬戸大橋をくぐり、しまなみ海道の橋が見えるところまで行って引き返すという。

 

しかも船首側で瀬戸大橋を待ち構えていると、「ちょうど列車が来るはずです」と船長のアナウンス。タイミングを狙ったらしく、まさにその瞬間に列車が来てデッキ上では拍手喝采。そんなサービス精神もこの船らしさだ。

 

夕焼け色に染まる高松も素晴らしかった。冒頭の写真がその一枚だが、徒歩約5分、港の目前にある高松シンボルタワーはまさに絶景。お勧めは30階の展望台ではなく、ホール棟8階の屋上広場。入場無料、接岸中の客船と島々へのフェリーの行き来が見渡せる。なのに人は少ない穴場。オーバーナイトの停泊だったので、翌朝も快晴の高松港と飛鳥Ⅱを写しにもう一度足を運んだほどだ。

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