【乗船レポート】「海を近くに感じる」
NCL、10年ぶりの新型客船「ノルウェージャンプリマ」

●うれしい悲鳴があがる、多彩なる選択肢

 

個人の好みに合わせたクルーズライフを送る「フリースタイルクルージング」を提唱するNCLは、充実したスペシャリティー・レストランも特徴。ノルウェージャン プリマでも「キャグニーズステーキハウス」、鉄板焼き「ハスキ」、メキシコ料理の「ロス・ロボス」など、他船で好評のレストランは引き続き登場した。今回初めて体験したフランス料理「ル ビストロ」では、エスカルゴなど伝統的なしっかりとした味のフランス料理がいただけた。ウエイターが目の前でうやうやしくクロッシェを外してくれるサービスも。

メイン・ダイニングもおしゃれ。プライベート感がある大人数用のテーブルもあった
ディナー時の牛肉のパイ包み

以前体験していたく気に入った「オンダ バイ スカルペッタ」は今回も期待を裏切らなかった。パリパリのピザに手作りのパスタにステーキ。もう満腹……と言いながら、濃厚なティラミスまでペロリと平らげてしまった。

 

同船から初登場なのが、地中海料理の「パロマー」。日本人が大好きな魚介を中心としたメニューを、選りすぐりのワインとともに楽しめる。おすすめはハーブと塩で焼き上げる丸魚とのこと。ただ焼き上がりまでの時間が必要で、今回は残念ながら挑戦できなかった。

 

そう、もし同船を批判をするならば、食も遊びも選択肢が多すぎて、すべてを体験しきれないところか。乗客は毎日「何を食べようか」「どう遊ぼうか」に頭を悩ます。だからこそ欲張りな人はぜひ、事前に綿密な計画を立てよう。

「オンダ・バイ・スカルペッタ」の屋内テーブル席
ていねいに作られたイタリア料理が楽しめる

実は今回最も驚いたのが、新コンセプトの「インダルジ・フードホール」、いわゆるフードコート・スタイルの食エリアだ。それ自体は日本のショッピングモールなどにもあり、驚くものではない。けれどもここは洋上なのだ。

 

船会社の視点で言うと、学校給食のように、すべての乗客に単一のメニューを提供するほうが労力は少ない。けれどもここインダルジは11ものショップを擁し、メニューも昼と夜で変わる。すべてのショップに料理人やウエイターを配さなければならない。その労力たるや! 実際NCLの要人もこのインダルジに関して「チャレンジングな施設だ」と表している。

 

インダルジ・フードホール内部。皆で座れるテーブル席のほか、サクッと食べられるカウンター席もある
CRUISE GALLERY
インダルジ・フードホール内部。皆で座れるテーブル席のほか、サクッと食べられるカウンター席もある
インダルジにあるフードトラック風の店舗では、タパスを提供
こちらはデザートコーナー。見せ方も愛らしい

一方、乗客にとってここはありがたい施設だ。席にはタッチパネルが置かれ、どの店の料理もオーダーでき、さらに席まで運んでくれる。家族で訪れて、父はタパスとビール、母はサラダとスープ、子どもはインドカレーといった、各国の料理を頼むことも可能だ。しかもメニューは写真付きでわかりやすく、ほぼすべて無料! だからメイン・ダイニングの代わりにふらりと立ち寄ることも可能だ。

 

さらにこのインダルジは、多くのショップがオープン・キッチンなのも特徴。例えばインド料理の「タマラ」には専用のタンドリーがあり、ナンが焼かれて香ばしい香りが漂ってくる。客船の食事はオーダーすると手品のようにどこからか運ばれてくることが多いが、目の前で自分の料理が作られていくのを見守るのも楽しいもの。周囲にはおいしそうな香りがいっぱいに広がり、漂う香りでメニューを選ぶ楽しさもあった。

ガラス張りキッチンは内が見えるようになっていて、ナンなどが焼き上がる様子が見える
インダルジ・フードホールのインド料理とタッチパネル。英語のメニュー読解は難しいので、写真付きなのがありがたい
屋外エリアと直結、いつもにぎわっていた「ザ・ローカル バー」。廃棄されてしまうフルーツなどを使ったサステナブルカクテルを提供している7デッキのメトロポリタンバーも人気
CRUISE GALLERY
屋外エリアと直結、いつもにぎわっていた「ザ・ローカル バー」。廃棄されてしまうフルーツなどを使ったサステナブルカクテルを提供している7デッキのメトロポリタンバーも人気

●意外なほどシックで心落ち着く有名デザイナーによるインテリア

 

多彩な食に心踊る一方で、船内はシックで洗練されたインテリアに包まれていて、落ち着けるのもポイント。デザインを担当する 「スタジオ・ダド」は、ラグジュアリー船社リージェント セブンシーズ クルーズの内装も手がけ、数々の受賞歴もあるデザイン会社だ。

 

特に印象的なのが、船内中心部に位置する「ペンローズ・アトリウム」。隠れ家が集合したような、比較的小規模な施設が多いノルウェージャン プリマの中で、唯一の3層吹き抜けの大型空間だ。そこは決してきらびやかでも、とりたてて「豪華」をうたうわけでもない。けれどもミニマルな中にハッとするような美意識が感じられる空間だ。ちなみにこのアトリウムにもバーやスターバックスがあり、座り心地のいいソファに海に面した吹き抜けのガラス窓があり、「海を眺めながらホッと一息」を楽しむ乗客の姿が絶えなかった。

 

ガラス張りのアトリウム。一流ホテルのようなデザインと居心地の良さ。3層吹き抜けは意外にもNCL初の試みだ。カフェやバーが配され、くつろぐ人が絶えない
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ガラス張りのアトリウム。一流ホテルのようなデザインと居心地の良さ。3層吹き抜けは意外にもNCL初の試みだ。カフェやバーが配され、くつろぐ人が絶えない
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