懐かしの80’sで夜遅くまで盛り上がる
飛鳥Ⅱの新潮流・ミュージッククルーズ
思い出すのは1977年のアメリカ映画『サタデー・ナイト・フィーバー』。ジョン・トラボルタ演じる主人公トニーはペンキ屋で働きながら毎晩ダンスに明け暮れる。ディスコブームはこれに端を発し、挿入歌のBEE GEESのディスコサウンドが世界を席巻。
大箱でミラーボール輝くディスコは90年代にはクラブと名を変えて小箱になり、2000年代には両者がミックスされてゆく。
「今では70年代に遊んだ人が還暦に。いよいよ親子でディスコが楽しめるようになったんです」。
そんなディスコ史の変遷があった上での、今なのだ。
あの頃に時を忘れて踊り明かした人だけでなく、もちろん今から覚えたい人でも大丈夫。日本唯一のプロ・ディスコダンサーのJINさんの教室も催され、午前も午後もにぎわっていた。
そんなDynasty 80’sのクルーズでは6デッキ船尾側のダンスフロア「クラブ2100」で毎晩ディスコナイトが開催された。夕食とメインショーを楽しんだ後の乗客のほとんどが来たのでは? と思ってしまうほど、熱気と盛り上がりに満ちていた。
しかも、もうひとつ言えば、昨年末の取材当時はようやくコロナ禍から離脱できようかというタイミングで、船側も慎重に慎重を期して、少しずつ船内イベントを再開していた時だった。だからなおさら、これが無事に開催され、当時はまだ皆でマスクをつけながらも、ようやく無事ににぎやかなダンスフロアが復活し、バーカウンターでのアルコール提供もできたのは、乗客のみならず、クルーたちにも万感の思いが見えた。
「いや〜、やっとここまで来られました」と感慨深く話すバーテンダーのうれしそうな笑顔は、その後そろそろ1年になろうかという今でもよく覚えている。
制約が多い時期が長かった分、どうせ復活するなら以前よりもパワーアップしたい。そんな思いがふたつのクルーズには満ちていた。コアの世代はちょうど50〜60代に相当するだろうか、80年代の響きをクルーズのメインに据えるのは飛鳥Ⅱの新たな動きだし、夜遅くまでパワフルに回遊する乗客を見て、きっとクルーも確かな手応えを感じていたに違いない。
フュージョンの歌姫・マリーンさん、DJ OSSHYとのトークショーに登壇したルーシー・ケントさんなど、ディスコ全盛期を語るにふさわしい、懐かしく、今もパワフルに活躍する憧れの「あの人」たちもクルーズを彩った。
そんなミュージック・クルーズは、飛鳥Ⅱのいっそうの成熟と新たな可能性を見せてくれた、楽しく華やかな航海だった。
〜Celebration〜 Musicウィークエンドクルーズ
日程:2023年6月17日(土)~19日(月)
コース:横浜~クルージング~横浜
Dynasty 80’s LIVE and MUSIC ON ASUKA Ⅱ
日程:2022年12月10日(土)~12日(月)
コース:横浜~クルージング~横浜
船名:飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ)
総トン数:5万444トン
乗客定員:872人/乗組員数:約490人
取材協力:郵船クルーズ