瀬戸内を自由自在にめぐる
クルーザーとホテルステイを満喫する船旅

瀬戸内を自由自在にめぐる クルーザーとホテルステイを満喫する船旅
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2026.03.12
クルーズ船で日本と世界をめぐってきたクルーズ愛好家に、ぜひ体験してほしい船旅がある。
クルーザーで瀬戸内海の島々を自由にめぐり、快適なホテルを拠点に島の文化と美食を深く味わう。
そんな瀬戸内スタイルのクルーズを紹介しよう。
文・写真=冨永真奈美

■大型客船では通過することが多い瀬戸内海

 

内海は世界中にあれど、瀬戸内海ほどの多島美や気候の穏やかさを誇る内海はない。瀬戸内海は本州・四国・九州に囲まれた内海で、神戸・大阪をはじめ、岡山・香川、しまなみ、広島といった4つのエリアで構成される。宮島や直島などの有名な島から無人島まで、約700もの島々があると言われ、港や桟橋、マリーナなど大小さまざまな寄港・係留施設が整備されている。瀬戸内には快適な宿泊施設が豊富に揃い、観光地や景勝地だけでなく、花火大会や芸術祭をはじめとした季節ごとのイベントも目白押しだ。

 

大型客船でこの海域を航行する場合、水深や航路の制約によって主要港への航行に限られることが多い。一方、小・中型のクルーザーなら、島々の間を縫うように航行し、小さな島々への寄港や入り江に接近することが可能となる。大型客船では難しい航路や寄港地を組み合わせることが可能だ。

 

こうした船旅を提供しているのが、瀬戸内海クルーズ専門のDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)「瀬戸内アイランダー」である。島々、船、観光に精通したスタッフが、船や航海ルートから、宿泊、食事、アクティビティの提案まで細やかに船旅をサポートしてくれる。なんと無人島を訪れるクルーズも手配できるとのこと。

 

 

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■クルーザーで瀬戸内の海を独り占め

 

今回筆者は、小豆島(岡山・香川エリア)のホテルに宿泊し、小型クルーザーで海をめぐる船旅を楽しむことに。以前、大型客船で小豆島を訪れた時は島の港に近付けなかったので、島を間近に感じられる新たな体験となる。

 

島の南東部に位置する桟橋で、瀬戸内アイランダーが手配した小型クルーザーに乗船した。乗るやいなや、躍動感あふれる波の動きが直に伝わってくるのはクルーザーならではの魅力だ。

 

早速スパークリングワインを空け、グラスを片手にしばしくつろぐ。船が静かに滑り出すと、360度全方位に海が広がっていく。クルージングをゆったりと楽しみながら、「そういえば小豆島はギリシャのミロス島と姉妹提携をしていたな」と、ふと思い出した。

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なるほど、小豆島周辺の海はミロス島が浮かぶエーゲ海のような紺碧色を呈しており、海面に降り注ぐ太陽の輝きも相まって、数年前に訪れたエーゲ海に浮かぶミロス島の風景と重なって見える。実際、瀬戸内海のこの海域は日本のエーゲ海とも呼ばれ、国内外の観光客の人気を集めているのだ。

 

とはいえ目の前の風景を眺めつつ「瀬戸内海にはやはり和の美や情緒が息づいているな」と思う。透明度の高い水や、穏やかながら生命力にあふれる泡立つ波。周囲に浮かび上がる島々や陸地のなだらかな輪郭、それらを覆う木々の深みのある色彩は、繊細な日本画、とりわけ水墨画を想起させるからだ。こうした瀬戸内ならではの景色を、臨場感を持って体感できるのが小型クルーザーならではの醍醐味だなと納得した。

 

船の種類によっては、船上で食事を楽しむクルーズも可能とのことだが、今回は島のホテルに宿泊し、食や観光を楽しむスタイルを選んだ。桟橋近くに位置するそのホテルは、クルージング中にその全景をすでに目に収めている。早く陸に降りてホテルの内観を見てみたいと期待が高まっていた。

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■海と一体になるホテル

 

海辺に位置するこのホテル「edit × seven 瀬戸内小豆島」は、周辺の環境に溶け込むような控え目なカラースキームの建物だ。昔からそこにあったかのように感じられるが、小豆島に34年ぶりに誕生した新設のホテルである(2026年1月オープン)。

 

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ホテルの内部に入ると、海から眺めた時の素朴な印象とは裏腹に、モダンでスタイリッシュな明るい空間が広がっている。客室に入りバルコニーに出ると、さきほどクルーザーでめぐった海と島々が目の前に広がる。時期によっては、海上に打ち上がる花火が夜空を彩る光景を客室からも楽しめるとのこと。キッチンと洗濯乾燥機を全室に完備、暮らすように滞在することができるから、連泊してクルージングを楽しむ拠点にぴったりだ。

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ホテルのレストラン「edén SETOUCHI」では、小豆島のめぐみを存分に味わえる。小豆島特産のオリーブを飼料としたオリーブ牛やオリーブハマチを使った地中海料理やスパニッシュ料理がビュッフェ形式で並ぶ。名物のパエリアや小豆島名物の醤油を使った黒アヒージョなど盛りだくさんだ。ワイン好きの筆者は小豆島初にして唯一のワイナリー「224WINERY」のワインとともに、隣り合わせた人たちとおしゃべりしながら食事を堪能した。

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瀬戸内海に面したダイニングの全面窓から、夕日が海をしっとりとしたオレンジ色に染めていくのが見える。この海の色の移り変わりは、食後に訪れたサーマルスパ「SPA edén SETOUCHI」のお風呂やインフィニティプールでさらに鮮明になった。陸と海の境界が曖昧になり、すべてが一体化するような風景の中で、心身ともにゆったりとくつろぐことができた。

 

このホテルには、どこにいても海が見渡せて、どこまでがホテル内部でどこからが海なのかよく分からなくなるような魅力がある。まるで大型客船のデッキに佇んで海を見渡しているかのようだ。陸にいながらクルーズ気分さえ味わえる。

 

スパでよくあたたまったせいか、その夜はぐっすりと眠れた。

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