飛鳥Ⅱでめぐる夏の北海道
再びの地で見る、新たな景色

飛鳥Ⅱでめぐる夏の北海道 再びの地で見る、新たな景色
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2026.08.18
夏の訪れを感じる6月末に、飛鳥Ⅱの3泊4日のショートクルーズ「A-plus 北海道 ~稚内・留萌~」に乗船した。
再訪となった今回は、船内で過ごす時間や寄港地など、前回とは違う楽しみ方を満喫。
さらに小樽発着を生かして余市まで足を延ばし、船旅に+αの楽しみを加える
飛鳥クルーズの「A-plus 」ならではの旅を満喫。ベストシーズンの北海道をめぐった。
写真・文=君島有紀
飛鳥Ⅱのパームコートから北の大地を望む。船内生活も北海道も満喫できる、効率のよい3泊4日だ

■「また会えた」から始まった、二度目の飛鳥Ⅱ道北クルーズ

 

「あら、また会えたわね!」

 

プロムナードデッキで遠ざかる小樽港を眺めていると、声をかけられた。昨年10月、飛鳥Ⅱの同じ航路に乗船した際、寄港地ツアーで隣の席だった女性と偶然再会したのだ。

 

「利尻島のあのウニ丼、おいしかったわよね。あれが忘れられなくて」と微笑む。前回の旅で「北海道に住んでいる私たちにとっても、道北は遠いのよ」と話してくれたことを不意に思い出す。思いがけない再会に楽しかった記憶が蘇り、またここへ帰ってきたのだと実感した。

 

移動だけでも多くの時間を要する道北エリア。小樽を起点に稚内や留萌を3泊4日でゆったりかつ効率よくめぐれるこのショートクルーズは、道外からはもちろん北海道民にとっても魅力的な航路だ。

 

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小樽港に停泊中の飛鳥Ⅱ。爽やかな空気とリゾート感ある光景に、早くも心がゆるむ

■旅の始まりを快適にする選択

 

思えば、旅の始まりから再訪の良さを感じていた。

 

新千歳空港の到着出口を出ると、「飛鳥Ⅱ」のウェルカムボードを持ったスタッフが笑顔で迎えてくれた。「揺れませんでしたか? ようこそいらっしゃいました」。その一言に、思わず肩の力が抜ける。東京には前日から台風が接近しており、飛行機が予定どおり運航するのか不安な夜を過ごしていたからだ。

 

今回、乗船が決まるとすぐに申し込んだのが、新千歳空港と小樽港を結ぶオプションの送迎バスだ。前回、その快適さを耳にし、次に乗るときは絶対利用しようと決めていた。

 

集合場所には利用者専用の待合室も用意され、集合時間よりかなり早かったが、荷物を預かってもらえた。利用客の多い新千歳空港では、座る場所を探すだけでもひと苦労なことがある。いつでも腰を落ち着けられる場所があるだけで、旅の始まりにぐっと余裕が生まれた。

 

身軽になって空港散策を楽しんだ後は、小樽港へ。前回は大きな荷物を抱えて電車で港まで向かったが、今回はストレスフリー。送迎バスに預けた荷物はピックアップなしに客室まで運ばれる。移動の負担を感じさせない細やかな心配りは、飛鳥Ⅱらしいおもてなしだと感じた。

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小樽港に停泊する飛鳥Ⅱ。新千歳空港からの送迎バスは、小樽市内で下車し乗船まで市内観光を楽しめる第1便と、乗船時間に合わせて小樽港へ直行する第2便がある

 

前回は初めての道北ということもあり、寄港地で過ごす時間や北海道ならではの絶景を楽しみに乗船したのを覚えている。今回は少し違った。前回飛鳥Ⅱ船内でもう少しゆっくり過ごせばよかったという心残りから、寄港地ツアーは午後出発のものを選び、船内時間を楽しめる余白をつくった。船内アクティビティに参加したり、食事やお酒をゆっくり味わったり。道北を再訪する楽しみはもちろん、「飛鳥Ⅱで過ごす時間」そのものが、今回の旅の大きな楽しみになっていた。

 

寄港地を思い切り楽しむ旅もいいし、船内時間をゆったり味わう旅もいい。同じ航路でも旅はまったく違うものになる。何度乗船しても、次の楽しみが残る。それもまた、飛鳥Ⅱの魅力なのだろう。

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朝食はリドカフェで。午後出発の寄港地ツアーだと、朝食もゆっくりと堪能できる

■ねらい目のタイミングで、船内の隠れ家へ

 

出航後にまず向かったのが、寿司「海彦」だ。これも前回の乗船で得た情報だった。ディナーの前後に楽しめる軽めのセットもあり、乗船日は比較的利用者が少なく狙い目だと、リピーターの方に教えていただいたのだ。

 

メインダイニングやリドガーデンのブッフェが充実していることもあり、これまで利用の機会がなかったが、「次こそは」と乗船後すぐに予約を入れておいた。

 

「握り寿司と酒肴の盛り合わせ」は、プロダクションショー前に小腹を満たすのにちょうどよいセットだった。隠れ家のような雰囲気で、カウンター越しに交わす会話も心地よい。落ち着いた空間で味わうお寿司は、飛鳥Ⅱの密かな楽しみ方のひとつだろう。船内の過ごし方に、またひとつ選択肢が増えた。

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「握り寿司と酒肴の盛り合わせ」(2,750円)。セットのドリンクは日本酒またはスパークリングワインから選べる

楽しみが尽きない飛鳥Ⅱの夜は、リドカフェのバータイム「アスカバル」も見逃せない。ここでは、お酒に合う各種つまみに並んで、生ハムを目の前で切り分けて提供してくれる。さらに専用器具で花びらのようにうすく削ったスイス産チーズ「テット・ド・モワンヌ」も楽しめる。切りたての生ハムに削りたてのチーズという贅沢なコンビネーションで、お酒が進む。

 

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楽しみが尽きない飛鳥Ⅱの夜。リドカフェのバータイム「アスカバル」では、お酒の肴にもぴったりな各種料理がそろう
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目の前で切り分けて提供される生ハム。切りたての新鮮な味わいを楽しめる
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薄くスライスされ、繊細な舌触りと華やかな見た目が楽しめるスイス産チーズ「テット・ド・モワンヌ」
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バー「マリナーズクラブ」では、ピアノの生演奏を聴きながら「ワールドクルーズ」(1,650円)を。ジンにパイナップルジュースを合わせ、最後にミントが香る

■さまざまな才能と出会う、特別な夜

 

夜は毎晩、ギャラクシーラウンジへ通った。名作映画の音楽をテーマにしたプロダクションショーや、飛鳥Ⅱ専属マジシャンとプロダクションショーキャストが共演するイリュージョンマジックショーなど、どれも初めて鑑賞する演目で見応えがあった。

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初日の夜に開催されたプロダクションショー「CINEMAⅡ」。誰もが聞いたことのある名作映画の音楽に酔いしれる
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最後の夜は、飛鳥Ⅱ専属マジシャンTAKUYAによるイリュージョンマジックショー「ヴォルール・ア・パリ」。艶やかなダンスと目を疑うようなイリュージョンの連続にくぎづけ

中でもとくに印象に残ったのが、初開催となった稚内ローカルショー「BEAT 〜和洋が織りなす世界〜」だ。ステージに立ったのは、稚内を拠点に活動する高校3年生の津軽三味線奏者・奈良海翔さん。『津軽じょんから節』や『蝦夷富士の唄』といった名曲に加え、マイケル・ジャクソンの『Beat It』なども披露した。

 

MCでは一生懸命に言葉を紡ぐ初々しい姿が印象的で、表情にも高校生らしさがのぞく。ところが、ひとたび演奏が始まると表情が一変。きりりとした眼差しで三味線に向き合い、奏でる旋律は堂々たるものだった。

 

途中から同じく稚内出身のドラム奏者・飯塚悠太さんが加わり、三味線とドラムという異色のセッションを繰り広げる。舞台には二人だけなのに、ダイナミックな音が力強く響き合い、会場の熱気は一気に高まった。

 

演奏が終わると大きな拍手が湧き起こり、スタンディングオベーションに続いてアンコールの声が止まなかった。終演後、出演者が会場の出口に立つと、感動を伝えたい観客で人だかりができていた。地域で活躍する若き才能にスポットを当て、船上で紹介する。飛鳥Ⅱならではの企画力が光る、すばらしい舞台だった。

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凛とした表情で三味線を奏でる奈良海翔さん。会場に響き渡る、力強い津軽三味線の旋律に驚かされた
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ドラムは、飯塚悠太さん(右)。楽しそうに演奏する二人の姿が、観客をぐっと引き込んでいく
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