News

クルーズ・オブ・ザ・イヤー2023、グランプリは3社合同MSC日本周遊

2023.12.08
業界

日本外航客船協会(JOPA)は6日、「クルーズ・オブ・ザ・イヤー2023」の選考結果を発表し、グランプリ・国土交通大臣賞に「MSCベリッシマ日本周遊クルーズ」を決定、MSCクルーズジャパン、ジャパネットサービスイノベーション、クルーズプラネットの3社合同受賞とした。同船は約8か月間で10 万人超を集客。新しい販売チャンネルの構築や新企画により、新規マーケットを開拓した点が高く評価された。そのほか優秀賞2点、特別賞4点を決定した。選考結果と選評は以下のとおり。

 

クルーズ・オブ・ザ・イヤーは、日本で販売されたクルーズ商品のうち、特にオリジナリティーにあふれ、日本のクルーズマーケット拡大に貢献したものなどを表彰するもの。選考は2019年以来4年ぶり。授賞式は12月22日(金)に都内で開催予定。

 

■グランプリ・国土交通大臣賞(3社合同受賞):MSC ベリッシマ 日本周遊クルーズ
(MSCクルーズジャパン)
(ジャパネットサービスイノベーション)
(クルーズプラネット)
MSCクルーズは最新鋭のメガシップ「M SCベリッシマ」を約8カ月間にわたり日本に配船。日本周遊クルーズの乗客数はチャータークルーズと合わせ10 万人を超えた。新しい販売チャンネルの構築や、Netflix 映画『クレイジークルーズ』の制作への特別協力による若年層への取り組みなど、新しいマーケットを切り開いた点が高く評価された。

ジャパネットサービスイノベーションは同船を13 航海にわたり全船チャーターし、4万人以上を集客。テレビショッピングという新しい販売チャンネルを、2018 年の優秀賞受賞以来継続的に進化させ、潜在需要の掘り起こしに寄与した。また、同グループ会社のBS 放送局で、多くの著名人が乗船する様子や初心者向け乗船ガイドをテレビ放映することにより、クルーズ未経験の層に大きなインパクトを与えたことも評価された。

 

クルーズプラネットは音楽グループMighty Crownとの協業により、レゲエをテーマにした「FAR EASTREG GAE CRUISE 」を実施。これまでにない企画とともに、2020~50 歳代という新たな客層へのアプローチに成功した点が高く評価された。

 

■優秀賞:憧れの豪華客船 飛鳥 に2 泊する船旅と名湯と美食旅
(阪急交通社)
飛鳥Ⅱのクルーズ2 泊と寄港先の宿泊・観光をセットにし、さらに添乗員同行としたパック旅行商品。クルーズが初めての方でも安心して参加できるようハードルを下げたことが奏功し、東京を中心に約2,000人、全国で約4,800 人が参加。うち約70パーセントがクルーズ初乗船であり、新規顧客の開拓に成功した点が評価された。「飛鳥Ⅱに2泊(もする)」ことをうたったキャッチコピーは、飛鳥Ⅱに対する消費者の憧れを的確にとらえたと言える。

 

■優秀賞:にっぽん丸 大洗発チャータークルーズ
(日立ポートサービス(日立埠頭株式会社))
茨城県日立市を拠点とする同社では地元・大洗港区発着のクルーズを多数、企画実施している。茨城県はもとより、近隣の千葉県・栃木県・群馬県・福島県・宮城県など東日本地域のクルーズ需要の拡大・掘り起こしに貢献したことが評価された。車社会という地域特性を考慮し、埠頭に無料駐車場を完備、北関東・南東北各地から大洗港区までの往復送迎バス運行などにより、参加へのハードルを下げることに成功した。船内では地元・大洗町の特産品を提供するなど地元活性化にも貢献。一度参加した乗客が友人を連れてリピートするなど、地元のマーケット拡大に好循環が生まれている。

 

■特別賞:クルーズライター 上田 寿美子
クルーズ乗船歴50 年、クルーズライターのパイオニアとして長年にわたり朝日新聞デジタルや雑誌クルーズトラベラーなどさまざまなメディアや各地での講演会を通じて、クルーズ旅行の楽しさを発信。今年1月にはテレビ番組『マツコの知らない世界』に2週連続で出演。大きな反響を受け、クルーズ各社の売上増にもつながった。外国籍クルーズ船の受入再開直前のタイミングでもあり、キックオフとして業界全体を活気づけた功績が評価された。
※上田氏は本件選考委員のため、特別賞の選考時には離席

 

■特別賞:金沢港クルーズターミナル
金沢港開港50 周年を機に建設された金沢港クルーズターミナルは、2020年6月開館。全国でクルーズターミナルの建設が課題となるなか、近年、船社資本により建設されるターミナルがある一方で、今回、公共的で汎用的な多目的ホールとすることで、クルーズが来ない時期にも県民に活用される施設となる一例を示せたことで、全国にクルーズターミナルを建設するハードルを下げることができたことが評価された。同ターミナルは、当初から客船寄港時以外の市民の活用を念頭に設計し、館内には金沢港の歴史や港の仕事を学べる施設や操船シミュレーター(一般向けでは国内最大級)を設置。また、寄港のない日には貸館として民間に開放し、自動車の展示会や物販、旅行イベントのほか、ヨガ教室、結婚式、保育園の運動会などにも利用され、2023年7月に来場者200万人を達成するなど港のにぎわいの拠点となった。今年は日本海側トップクラスの寄港数(47回)となり、発着型や停泊型クルーズの利用も進む。

 

■特別賞:清水港
(静岡県 交通基盤部港湾局)
コロナ禍により中断していた外国籍クルーズ船による日本寄港の再開第1弾として、2023年3月1日に「アマデア」(フェニックス・ライゼン)を受け入れた。安全・安心を最優先に日本船の受入実績を重ねながら、外国船社との継続的な関係の維持に努めたことにより、受入再開を成功させた。富士山を背景に入港するアマデアの姿は多くのメディアで報じられ、クルーズ再開の認知度向上にも貢献した。今年の寄港回数は過去最多の57回を見込む。

 

■特別:国際クルーズの再開を目指して
(日本国際クルーズ協議会)
コロナ禍により停止した外国籍クルーズ船の日本寄港・発着の再開に向け、関係各所との調整・交渉を行うなど尽力したことが評価された。同協議会は外国船社の日本支社・日本法人等、販売旅行会社、船舶代理店、ランドオペレーター等により、コロナ禍の中の2021年4月に設立。2022年11月に外国籍船の感染予防ガイドラインを策定。2023年3月からの外国籍船の日本寄港再開に貢献した。今後も外国籍クルーズ船に関わる業界団体として活躍が期待される。

TOPへ戻る
シェアアイコン