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クルーズ・オブ・ザ・イヤー2025、グランプリに飛鳥Ⅲデビュークルーズ
日本外航客船協会(JOPA)は「クルーズ・オブ・ザ・イヤー2025」の選考結果を発表、グランプリに郵船クルーズの「飛鳥Ⅲデビュークルーズシリーズ」を決定した。日本籍の新造クルーズ客船の就航は27年ぶりであり、日本のクルーズ史に新たな一歩を刻んだことが評価された。また地域活性化への取り組みも高い評価を得た。そのほか、優秀賞4点、特別賞3点を決定。選考結果と選考理由は以下のとおり。
クルーズ・オブ・ザ・イヤーは、日本で販売されたクルーズ商品のうち、特にオリジナリティーにあふれ、日本のクルーズマーケット拡大に貢献したものなどを表彰するもの。授賞式は12月19日に都内で開催予定。
■グランプリ:飛鳥Ⅲ Debut Cruise シリーズ
(郵船クルーズ株式会社)
「飛鳥Ⅲ」は今年7月にデビューし、横浜・神戸・博多発着のデビュークルーズ8本を実施した。日本籍の新造クルーズ客船の就航は実に27年ぶりであり、日本のクルーズ史に新たな一歩を刻んだインパクトは大きい。船内各所に日本の美術・工芸作品を展示したほか、一部の客室に全国各地の特産品や伝統工芸品を設えるプロジェクト「飛鳥Ⅲ meets 47都道府県」など地域活性化への取り組みも高い評価を得た。横浜港への初来航時には多くの市民が訪れ、期待の大きさが示された。また、建造過程を随時情報発信するなど就航までの話題性の高さも評価された。
■優秀賞:MSCベリッシマ 那覇発着クルーズ(沖縄定点クルーズシリーズ)
(株式会社MSCクルーズジャパン、株式会社阪急交通社)
「MSCベリッシマ」の那覇発着クルーズは今冬で3シーズン目を迎えた。外国船による長期間の定点ショートクルーズは、クルーズの新たなモデルとして定着しつつある。沖縄県内全域への経済波及効果や、閑散期の安定的な観光需要と現地雇用の創出(2025年1~10月の現地雇用350人超)など、持続的なクルーズビジネスが展開できる環境を整えたことで高評価を得た。
阪急交通社は、航空会社の協力を得て全国24空港と那覇をつないだ商品を造成。2024年1月~2025年1月までの那覇クルーズ実績は41,783名、特に若年層・ファミリー層向けの商品設計により、Z世代・ミレニアム世代(18~44歳)の予約者数は前年度比12%増加(2025年10月現在)するなど、日本のクルーズ市場の活性化に寄与した点が高く評価された。
■優秀賞:金沢発着チャータークルーズ 金沢から陽気なイタリアンクルーズ!
コスタセレーナで行く 気分爽快♪ 日本海ショートクルーズ
(株式会社ベストワンドットコム)
クルーズ専門旅行会社ベストワンドットコムの「コスタセレーナ」単独チャーターによる金沢発着ショートクルーズ。今年2年目を迎え、能登半島地震後の観光需要創出による復興支援の側面が高く評価された。また、コロナ禍前には船会社が自主クルーズとして行っていた日本海側から発着するクルーズを、旅行会社自らがリスクを負って実施したことも高く評価された。北陸3県の乗客が全体の60%を占めるなど北陸エリアのクルーズ需要を新たに創出したことも高評価となった。短日程・低価格の設定により、「クルーズはリタイア後の贅沢なレジャー」と考える潜在顧客への訴求にも成功し、3~4泊の国内旅行感覚でクルーズを身近に楽しめる商品に仕上げた。
■優秀賞:にっぽん丸 東北発着クルーズ
(河北新報トラベル)
仙台市を拠点にする河北新報トラベルによる「にっぽん丸」をチャーターした東北の港発着のクルーズ3航海。酒田港発着「にっぽん丸 花の利尻・礼文島クルーズ」は、隣接する県から港まで有料バスを設定し1カ月で完売。青森港発着「にっぽん丸 花の礼文島クルーズ」は2泊という手軽さから多くの初乗船者の集客に成功した。仙台港発着「にっぽん丸 夏の絶景クルーズ」は6泊で屋久島と瀬戸内海をめぐるコースとし、ショートクルーズ経験者を高単価商品へ誘導することに成功した。顧客増のみならず、「顧客を育てる」ことで東北エリアにおけるマーケット拡大に寄与した功績は大きい。
■優秀賞:大西洋に浮かぶ国カーボベルデとカナリア諸島・南米への冒険22日間
(株式会社阪急交通社)
リスボンからブエノスアイレスまで「ノルウェージャン・スター」による18泊の大西洋横断クルーズ。ツアー代金が高騰化する中で泊単価3万円台、長い日程かつ目新しいデスティネーションの航路を実現できる商品として造成。通常のツアーでは訪れることの少ない「カーボベルデ」をタイトルに掲げたことなどが奏功し、目標の2.7倍の68人の集客に成功。手軽さとは対極のさまざまな体験や、コースのユニークさ、担当者の企画力が評価された。
■特別賞:クルーズフェスティバル東京
(株式会社クルーズプラネット)
クルーズ専門旅行会社クルーズプラネットによる、クルーズを「体感する」総合イベント。今年は会場を東京国際フォーラムに変え、広さを1.4倍に拡大。目標を大きく上回る2,622人が来場した。セミナーやトークショー、疑似乗船体験、個別相談ブースなどを通じて、クルーズをより身近に感じ、旅行の新たな選択肢として検討してもらう機会を創出。新しいクルーズの顧客層を広げる取り組みが高く評価された。イベント当日は「飛鳥Ⅲ」就航日と重なり、横浜港からの実況中継など新しい取り組みも効果的であった。
■特別賞:清水港客船誘致委員会 官民共創で35年の足跡と未来に向けて
(清水港客船誘致委員会)
1990年「クイーン・エリザベス2」の寄港から始まった「清水港客船誘致員会」は今年で設立35周年を迎えた。清水港は、2025年度は 100隻を超えるクルーズ船を迎えるまでに成長した。長年にわたる客船受入の取り組みが大きな成果につながることを示したことを評価しての授賞となった。
■特別賞:松崎港・サマークルーズ「親子3代で楽しめる、ちょっと懐かしい日本の夏休み」
(郵船クルーズ株式会社、飛鳥Ⅱ歓迎イベント実行委員会・静岡県)
今夏「飛鳥Ⅱ」の初寄港時に、松崎町と西伊豆町の関係団体で組織する「飛鳥Ⅱ歓迎イベント実行委員会」と郵船クルーズが連携し、地元住民による歓迎や、砂浜での宝探しなど海水浴場でのイベントを実施。松崎町長自ら終日現場で対応するなど、町を挙げての温かいもてなしを実現した。地元のファミリー住民がクルーズを身近に感じられる機会を作りだし、地域社会におけるクルーズの認知度を高めることに大きく貢献したことが評価された。
