にっぽん丸で過ごす夏、「にっぽん丸ビーチ」の休暇

●思い出が心にしみ込む旅の速度

 

その晩は、波がおだやかで船がスムーズに進んだ。デッキに出ると、くっきりした半月が空に浮かび、月の光が水面にきらめく帯を作っていた。漆黒の夜の海から聞こえる波音。こんな海の表情を見られるのもクルーズの楽しみだ。

 

最終日は夜明け前に船首にある「ホライズンラウンジ」の外のデッキに出て、水平線から上る日の出を待った。そこに、昨日「にっぽん丸ビーチ」でも会った女性がいて、昨晩はコンサートを堪能し、今朝はこうして日の出を見られて、思い出に残る初めてのクルーズ旅だったと話してくれた。

 

旅には速度がある。次の寄港地に着くまで、一人でぼーっと海を眺めなら、旅の出来事を反すうしたり、思い出が心の中にしみ込むのを感じるには、船旅の速度は本当にちょうど良い。その女性と会話をしながら、私もなんだかうれしい気持ちになって、水平線から上る太陽を一緒に見つめていた。

海を眺めながら日の出を待つ時間は、船旅ならでは
CRUISE GALLERY
海を眺めながら日の出を待つ時間は、船旅ならでは

●午後の帰港で、ゆっくり過ごせた最終日

 

朝食は6階のオーシャンダイニング「春日」で、ほうじ茶フレンチトーストと、志摩の名産あおさの入ったクリームスープなどをいただいた。横浜港に到着するのは午後なので、まだ時間はたっぷりある。にっぽん丸名物のユニークで楽しい競馬ゲームやビンゴゲームなど、船内のさまざまなアクティビティーに参加する人も多いようだ。

にっぽん丸オリジナルの競馬ゲーム「ホースレース」
午後の帰港なので、デッキでゆっくり過ごす時間もとれた

最後のランチタイムのお楽しみは「船上で楽しむ松阪牛」だ。柔らかくジューシーな松阪牛のプロシェットをほおばっていると、「まもなく左手に伊豆諸島の神津島が見えてまいります」と船内アナウンスが流れ、「春日」の大きな丸い窓の外に島影が見えてきた。海から見る島は岩肌がダイナミックだ。やがて式根島と新島を通過し、まもなく視野の右側に房総半島が入ってきた。横須賀の岬を過ぎるともう東京湾の入り口。終点の横浜港が近づいてきた。ブリッジで港への接岸の準備をするにっぽん丸キャプテンたちの作業を見ながら、楽しい夏の思い出を作ることができたクルーズが安全に終了するお礼を、心の中で伝えた。

提供された松阪牛。特別感のあるランチとなった
CRUISE GALLERY
提供された松阪牛。特別感のあるランチとなった
クルーズの終盤、洋上からドラマチックな景観が楽しめた
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クルーズの終盤、洋上からドラマチックな景観が楽しめた

■取材メモ

にっぽん丸 夏のしま・しまクルーズ

日程:2022年7月19日(火)~21日(木)
コース:横浜~浜島~横浜
クルーズ代金:10万8000円(スタンダードステート)~
48万6000円(グランドスイート)
船名:にっぽん丸(商船三井客船)
総トン数:2万2472トン
乗客定員:449人(最大)/乗組員数:230人

 

■にっぽん丸公式サイト

https://www.nipponmaru.jp/

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