上田寿美子氏夫妻も乗船
ぱしふぃっくびいなすで航く
北前航路に思いをよせて

上田寿美子氏夫妻も乗船 ぱしふぃっくびいなすで航く 北前航路に思いをよせて
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2023.02.03
2023年1月をもって客船事業を終了した「ぱしふぃっく びいなす」。
結果的に最後となった乗船レポートを掲載する。

クルーズライター上田寿美子氏夫妻とともに乗船したのは
神戸港から出航し、最終目的地の金沢港を目指す「令和の北前航路 ~神戸×金沢連携記念~」。
かつての北前船の航路と重ね合わせたクルーズでは
歴史と文化、そして船旅だからこその眺望を存分に楽しんだ。
写真=篠田勇 文=粟屋千春
多島美を堪能できる航路。夫妻でのんびり景観を楽しむ時間がとれるのも、クルーズの魅力

●洋上で五感を研ぎ澄まし、瀬戸内と北陸の文化を満喫

 

日が暮れて、海沿いの施設に明かりが灯り、華やかな雰囲気に満ちた神戸港。まもなく出航を迎える「ぱしふぃっく びいなす」からは、神戸ハーバーランドのイルミネーションや、六甲方面だろうか、山の斜面にいかりの形が浮かんでいるのが見えた。キラキラと輝く港町が晴れやかに送り出してくれているようだった。

 

今回の船旅は北前航路の歴史を振り返るとともに、神戸港と金沢港が連携協定を結んで初めてのクルーズとなる。船内では神戸と金沢の文化にふれられるショーや船内イベントもスタンバイしていた。

神戸の夜景を眺めながらの出航シーンとなった
CRUISE GALLERY
神戸の夜景を眺めながらの出航シーンとなった

●船内で両港の魅力を楽しみ尽くす

 

翌2日目の終日航海日、午前中から早速、船内イベントに足を運んだ。まずは「金沢金箔レクチャー」。金合金の製造から一枚の金箔を作るまでの詳しい工程の解説に「金箔を打ちのばす紙を作るために3カ月もかかるなんて驚きでした」と上田氏も話すとおり、初めて知ることが多かった。新たな知識を得て「金箔貼り体験」にも参加。小皿に約1万分の1ミリまで打ち延ばした金箔を貼る作業は、呼吸するだけで金箔が飛んでいきそうで緊張したが、同時に金箔の繊細さも実感できた。

数種類の模様から金沢・兼六園の徽軫灯篭を選んだ上田氏。真剣な眼差しで「金箔貼り体験」に向き合う

ランチ後には「神戸ワインレクチャー」が開催された。神戸ワインの歴史やブドウ産地のことから日本ワインについてなど、内容は多岐にわたった。途中、神戸ワイン「ベネディクシオン」の赤、白鶴と神戸ワインがブドウの栽培から協力して造り上げた「無濾過シャルドネ(白)」の試飲も。メイド・イン・神戸にこだわってワイン造りを続ける情熱が伝わってくる味わいだった。

神戸市内で栽培したブドウ100パーセントで造る神戸ワインをテイスティング

夜のショーも神戸と金沢の文化が薫る素敵な時間を過ごした。2日目の夜は杉山悟史氏らによるジャズライブ。杉山氏がNHK連続テレビ小説の劇中で演奏した『リズム・エクスチェンジ』など、大正時代から受け継がれてきた神戸ジャズの魅力が詰まった多彩かつ圧巻のステージだった。

 

「杉山悟史カルテットfeaturing末元紀子」のジャズライブ。『二人でお茶を』なども披露された
CRUISE GALLERY
「杉山悟史カルテットfeaturing末元紀子」のジャズライブ。『二人でお茶を』なども披露された

 

翌日の夜は、金沢で誕生した和楽器ユニット「いのあ」による和の調べがメインホールを包み込んだ。オリジナル曲『おすしの歌』では、「♪おすしたっぽん おすしたぽぽん」の歌に合わせ、会場の全員が手拍子で参加し、大いに盛り上がった。

和楽器ユニット「いのあ」のステージ。笛の藤舎さんと箏の北村さんは加賀友禅の着物を着用。より華やかな雰囲気に包まれた
CRUISE GALLERY
和楽器ユニット「いのあ」のステージ。笛の藤舎さんと箏の北村さんは加賀友禅の着物を着用。より華やかな雰囲気に包まれた
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