アラスカ! 最果ての地を優雅にめぐる
クイーン・エリザベス乗船レポート
アラスカらしい景観のハイライトのひとつが、乗船3日目にやってきた。氷河によって削られたフィヨルドであるトレイシーアームを航行する、いわゆるシーニック・クルーズが行われたのだ。
その日は朝起きてジムに向かった。クイーン・エリザベスのジムは船首にあり、景観を望めるベストスポットのひとつだ。予想通り、ランニングマシンの前にはそそり立つようにフィヨルドが広がり、雪を抱いた木々が眼前に広がる。ランニングマシンを少し早歩きの速度に設定して歩いてみると、まるで絶景に向かってウォーキングしている気分になった。世界で一番ぜいたくなウォーキングではないか……ジムにいた乗客全員が、きっとそう考えていたはずだ。
両端にフィヨルドを眺めながら、クイーン・エリザベスはゆったりゆったりと優雅に進んでいく。そこには人工物が一切見えない。アラスカが一大クルーズエリアになっているのは、その秘境感ゆえだろう。
絶景の鑑賞の仕方もクイーン・エリザベスらしい。一番人気はガラス張りでパノラミックな景観が楽しめるコモドアー・クラブ。グラスを傾けながら静かにアラスカの絶景を楽しむ乗客が集っており、まさに「大人の休日」というべきぜいたくな時間が流れていた。
一方、アクティブな乗客は5・6デッキ前方へ。普段はクルーのエリアとなっているデッキを、この日は乗客のために開放していたのだ。ダウンジャケットやニット帽など万全の装備に身を包んだ乗客たちの中にはファミリーも多く、皆記念写真を撮ったりと楽しげにしている。
さらに今回はグリルクラスに滞在したため、グリルクラス専用のグリルズ・テラスからも絶景が楽しめた。下のデッキとは違い、こちらはゆとりの空間が確保されている。アラスカのように絶景が楽しめるクルーズエリアこそ、グリルクラスを選択するメリットが大きいということに気づく。
予定通り、16時ごろにトレイシーアームの最深部にあるソーヤ氷河が見えてきた。地球温暖化により以前から比べたら後退しているであろう氷河だが、それでも吸い込まれるようなブルーをクイーン・エリザベス船上から眺めるのは至福のひとときだった。船は氷河にギリギリまで近づいて旋回する。あとから船長がパーティーのあいさつで「氷河にあそこまで接近できるのは珍しいことだ」と語っていて、思わずガッツポーズをした。
アラスカで楽しめるのは絶景だけではない。今クルーズではシトカ、ジュノー、ケチカンと寄港地があったが、その寄港地ツアーのバラエティーにも驚いた。