アラスカ! 最果ての地を優雅にめぐる
クイーン・エリザベス乗船レポート

ワイルドな寄港地体験、一度で二度楽しめる
たとえばケチカンで設定されていた寄港地ツアーは全部で24本。ハイキングやサーモンを釣るといったアクティブなツアーも多い。ちなみに今クルーズはアラスカのベストシーズンとあって、ほぼ満船。寄港地ツアーもキャンセル待ちが多く出ていたから、事前に申し込んだのが正解だった。
シトカで参加したのは、ゾディアックツアー。濡れてもいいレインジャケットの上からライフジャケットを着用し、各国の軍でも使われている高性能ゴムボート・ゾディアックに乗り込む。昨晩は氷河をイメージしたブルーのドレスを身にまとってダンスを踊っていたのに、今日はライフジャケットを着てボートで疾走するのだ!
アラスカのひんやりと心地よい海を切り裂くように、ゾディアックは海に繰り出した。岸辺から少し離れると、目に入るのは圧倒的な自然。日本人にはシトカ富士という呼称で親しまれるエッジカム火山が青い空に浮き立つ。白頭ワシが羽を大きく広げて飛び立つ姿が見えるが、自然が雄大すぎてワシのサイズが小さく見える。
ジュノーではホエールウォッチングに参加。「あそこ!」と声が上がるたびに振り向くも、シャッターチャンスを逃すことばかりで、改めて動物写真家のすごさを知った。その海域に暮らすクジラそれぞれに名前があり、尾びれで見分けるという新たな知識も得つつ。
ケチカンでは先住民族が立てたトーテムポールに圧倒された。アラスカにはトリンギット族、ハイダ族といった先住民族が暮らす。トーテムポールは先祖代々伝わる神話・伝説などから、その家に深く縁のある人や動物をモチーフにした紋章と言われる。後世に伝えるために立てられたこの巨大な柱を、はるばる極東からやってきた自分が眺めていることの不思議な縁を感じた。
アクティブな寄港地を後にし、クイーン・エリザベスに戻ると、弦楽器三重奏のクラシカルな生音が響いていることが多かった。夜になると当然のようにダンスタイムも行われる。
当初はイメージがつかなかったクイーン・エリザベスによるアラスカクルーズ。それは大自然の中で過ごすアクティブな寄港地体験と、伝統を受け継ぐサービスやダンスタイム、「一度で両方楽しめる」、実にお得な船旅だった。華やかなロングドレスもタキシードも、そして高性能なアウトドアウエアも、クイーン・エリザベスのアラスカクルーズでは存分に活躍してくれたのだ。








アラスカクルーズ8日間
日程:2023年6月30日〜7月7日
船名:クイーン・エリザベス(キュナード・ライン)
コース:バンクーバー〜トレイシーアーム航行〜シトカ〜ジュノー〜ケチカン〜バンクーバー
クルーズ代金:12万5000円(スタンダード内側)〜
総トン数:9万900トン
乗客定員:2,081人/乗組員数:980人
全長:294メートル/全幅:32.3メートル