にっぽん丸
就航30周年
オリジナルグッズ誕生秘話

にっぽん丸 就航30周年 オリジナルグッズ誕生秘話
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2020.04.27
にっぽん丸は2020年、30周年を迎えた。
それを記念したオリジナルグッズや、さまざまなリニューアルが企画されている。
鋭意進行中のプロジェクトの内容をお見せしよう。

写真=斉藤美春 文=相馬由子
これは何だ? と思わせる
目を引くデザインに

にっぽん丸は1990年の就航から今年で30年を迎えた。その記念すべき年に改装を実施し、新たに生まれ変わる“新・にっぽん丸”のお目見えが待ち遠しいところだ。実はその水面下で、船内ショップで販売されるグッズなど30周年記念の特別企画も密かに動いていた。今回のショップにおけるリニューアルの大きな目玉でもあるのが、商品を買ったときに入れてもらえるショップバッグだ。青色の大きな丸がデザインされたあの馴染み深い紙袋が、今回10年ぶりにリニューアルした。しかもデザインが斬新である。

 

その意図を探るためにやってきたのは、ショップバッグのデザインと製作を手がけた「エス・ピーパック」。アパレルや化粧品ブランドのショップバッグを専門的に手がける会社だ。今回のリニューアルを進める商船三井客船の運航・サービス管理グループの泉匡彦さんと、製作・デザインに携わったエス・ピーパック営業三部一課課長の鈴木隆文さん、同課主任の石躍亮太さん、デザイナーの川村玲子さんに話を聞いた。

都内にあるエス・ピーパック本社にて打ち合わせ。左から泉さん、川村さん、鈴木さん、石躍さん
CRUISE GALLERY
都内にあるエス・ピーパック本社にて打ち合わせ。左から泉さん、川村さん、鈴木さん、石躍さん

●インパクトを大事に

 

当初、川村さんは10パターンのデザイン案を提案したという。「クルーズ船のショップバッグのデザインを手がけるのは初めてでした。普段デザインしているアパレルブランドなどと違って、ターゲットや世代が限定されているわけではないので、幅広く受け入れられるデザインを……と、にっぽん丸のホームページなどを参考に考えました」(川村さん)。

 

10パターンのデザイン案をもらった泉さんは、社内で意見を聞きながら絞り込んでいったのだそう。「山口直彦社長にも直接見てもらい、『これは乳酸菌飲料のようなイメージだからこっちのほうがいいのでは』などとさまざまな意見をもらいました。今回紙袋に採用した2案が、社内でもとても評判が良かったです」(泉さん)。

 

にっぽん丸からお客さまが紙袋を持って降りてくるところを想像し、これなら目を引くと思ったのだそう。「ここまでデザインにこだわった紙袋を作っている客船はあまりないなと思いまして。港でこの紙袋を見たときに『どこのだろう?』と興味を持ってもらえるとうれしいですね」(泉さん)。

 

大きいサイズの紙袋のデザインは、にっぽん丸の7階の丸窓からのぞいた海の風景をイメージしたもの。丸窓はにっぽん丸のシンボルでもある。小さいサイズのほうは、にっぽん丸の外観。ファンネルの赤がアクセントとなっている。

 

実は、にっぽん丸のショップバッグのリニューアルの話が浮上したのは約2年前。「にっぽん丸を知る前任の担当者が営業に行ったのがきっかけ。船上のショップとはどういうところなんだろうと興味がありました」(石躍さん)。

 

そのときには、特にショップバッグをリニューアルする予定はなかったのだそう。「ところが、デザイン案をもらったら、社内の評判が良くて、早く切り替えてもいいんじゃないかという声もあり。この30周年のタイミングでリニューアルすることにしました」(泉さん)。

CRUISE GALLERY
ちょっと個性的なものから、ベーシックなものまで、バランスを考えて提案されたデザイン案
2つのショップバッグのうち、一方が船の中から海を見たイメージ、もう一方が船の外観という対比がおもしろい
紙袋のほか、小分けにできるビニール製の袋も一緒にリニューアルした

●雨にも強い丈夫な素材で

 

もう1点注目したいのは、紙袋の素材を変えたことだ。鈴木さんいわく、「最近はプラスチックゴミ削減のため、二次利用できることが大切。紙袋についても、雨にも強いコート紙をご提案しました」とのこと。厚手で丈夫なので「にっぽん丸の人気のお土産のひとつであるレトルトカレーを10箱程度入れても大丈夫ですよ」と泉さん。このすてきなデザインの紙袋でお土産を渡したら、相手との会話もより弾むだろう。

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