●舌でも北海道を味わう
自然や文化はもちろん、舌でも存分に北海道を楽しめるのがこのクルーズの特徴だ。2日目の夜、北海道御膳と題された和食コースがふるまわれた。北海道産ホッキ貝の湯霜やカニ鍋など、名産がずらり。ダイニングは鍋に注がれたカニとエビの出汁の香りで満たされ、海産王国・北海道たる空気が広がった。翌日の羅臼寄港時には、「羅臼ダイニング」も開催。コロナ禍で予定を変更し船内での提供になったものの、愛らしいお重にびっしりと詰められた海の幸は、乗客の口を幸せに満たした。
ほかにもリドカフェでは毎日日替わりで北海道産のアイスクリームが提供され、甘党の食指を動かした。知床半島を眺めながらのシーニック・クルーズ時には「知床カフェ」と題されたカフェタイムも設けられ、サッポロビールや特産の昆布のかけらが丸ごと入った昆布茶などが供された。





●効率のみならず、奥深く
たっぷりと北海道を楽しみ尽くした3泊4日。参加する前は、この「飛んでクルーズ北海道」は、効率よく行きにくい地をめぐれるのが利点だと思っていた。実際に参加してみて、その点は疑いようもない。けれど効率のみならず、北海道を深くたっぷりと味わえる──それこそがこのクルーズの醍醐味だと知った。道内から参加されていた方が、「北海道に長くいて知った気になっていたけれど、今回初めて知ったことがたくさんあった」と語っていたのが印象的だった。その背景には、にっぽん丸が長年培ってきた北海道との深い縁がある。
乗船後に東京に戻ると、33度という気温と、ムッとする湿度が待ち受けていた。「今すぐ飛んで北海道に戻り、にっぽん丸に乗りたい……」と思ったのは言うまでもない。
<取材メモ>
飛んでクルーズ北海道 Bコース
日程:2022年8月28日(日)〜31日(水)
コース:小樽〜利尻島〜羅臼〜小樽
クルーズ代金:14万1000円(スタンダードステート)〜
63万3000円(グランドスイート)
船名:にっぽん丸(商船三井客船)
総トン数:2万2472トン
乗客定員:449人(最大)/乗組員数:230人