コロナ渦での地中海クルーズ乗船記
【Vol.3イタリアの心が詰まったコスタクルーズのフラッグシップ編】
●イタリアデザインの真髄を体感できる、船上初の美術館
同船に乗って体感できるのは、イタリアの食だけではない。公室や客室の椅子、照明、じゅうたんなど、主張は強くないが一つひとつが“デザイン”されていることに気が付く。
その象徴が、船内にある「CODE(Costa Design Collection)」という船上初、イタリアデザインの博物館だ。ここを訪れると、コスタのイタリアデザインへの熱い思いを知ることができる。車、家具、ファッション、生活用品などが年代別に並べられていて、デザイン大国イタリアを俯瞰することができる貴重な場所だ。建築やアート好きなら数時間居ても飽きないだろう。
そして、アートを見る目で船内を歩くと、あっという間に1日が経ってしまいそうなほど、家具や照明、ファブリック、空間の絶妙さが巨大な船内に展開していることに驚くはずだ。
●イタリアに浸りながら多彩な過ごし方が叶う船
前述のように「コスタ スメラルダ」はコスタ最大の客し船となるが、レストランやイベントスペースなど公室の配置が6~8デッキと、16~19デッキに集約されているので、動線がよい(とはいえ広いので、最初は迷いながらいろいろな施設を見つける楽しみもある)。
ウォータースライダーなどはあるが、一つひとつのプールやレストラン、イベント広場などが大きすぎることがない。その分、子供が安全に遊べる場所から、大人が静かに過ごせる場所など、乗客それぞれが思い通りの休暇を過ごすことができる選択肢が豊富だ。
スパなどもそこまで広すぎず、ある程度の人数で静かにリラックスできる。室内プールがあるソラリウムのジャグジーも、家族やカップルだけで使えるような小さめのジャグジーが複数配置されていたり、デッキのざまざまな場所にデッキチェアやテーブルと椅子があり、近くのお店やバーから軽食やドリンクをテイクアウトして過ごすこともできる。
客室は今回初めて滞在した「テラス・プレミアム」という客室が良かった。普通の客室とバルコニーの間に2人がゆったり横になれるソファーベッドと、椅子2脚とテーブルがある、温室のようなスペースがある客室だ。バルコニーはデッキチェアがあっても、寒かったり暑かったりで長居しにくいが、この間の空間は開閉できるので、温度に関係なくリラックスできるし、朝のルームサービスをゆっくりいただくにもとても快適で便利だった。
もう一つは最上階に行かなくても、8デッキの外をぐるりと一周めぐれること。おいしい食事に備えて、海に近いエリアでウォーキングができるし、途中、椅子やデッキチェア、船尾にはバーもあるのでほどよく休憩もできる。
さまざまな“イタリア”を五感で体験しつつ地中海をめぐるコスタ スメラルダでの旅は、船内で、寄港地で、新しいインスピレーションや忘れがたい思い出をたくさん与えてくれた1週間となった。
船名:コスタ スメラルダ
(コスタクルーズ)
就航年:2019年12月
総トン数:18万3000トン/乗客定員:6522人
全長:337メートル/全幅:42メートル
船籍:イタリア