にっぽん丸で春を感じるクルーズへ
新しい気づきに満ちた、子連れ船旅
子供向けサービスもあり
華やかな洋上の食は、食育にも最適
いざ初日のディナーへ向かう。子供にも大人と同じ本格的なフルコースが供される。春の恵みを詰め込んだ多彩な前菜には、大人も子供も歓声をあげる。
驚いたのは普段は初見のものを食べたがらない娘たちが、パクパクと料理を口に運んだこと。その見た目の美しさゆえだろうか。にっぽん丸は「食育」という観点でも優れている。
ちなみにダイニングではわれわれの顔ぶれを見て、少し奥まった席に案内してくれたのもありがたかった。見ると周囲にはやはり子連れの乗客が座っている。大人だけでしっとり楽しみたい人から離れた席にしてくれる、そんな気遣いがうれしい。
今クルーズは最初の寄港地に着くのがお昼頃で、午前中にゆっくり船内を楽しむ時間があった。それが結局として非常に濃厚な時間となった。にっぽん丸の船内イベントは、親子ともども楽しめるものが少なくない。
デッキでのシャッフルボードもそのひとつ。大海原を見渡しながら、大人も子供も笑い声をあげて遊ぶ時間は、いかにも船旅らしいひとときだった。しかもそこで顔を合わせた乗客同士、その後も船内で語らう間柄になったのはうれしかった。コロナ禍明け、久々に感じた船旅らしい社交のシーンだ。
大人向きかもしれないとおそるおそる参加したイベントも、こちらの予想を裏切って子供が夢中になった。にっぽん丸の食の舞台裏を説明する「にっぽん丸SHOW CASE」もそう。中山勝利総料理長の軽快なトークとともに、眼前でにっぽん丸の一品がたちまちに作り上げられていく様子に、大人も子供も見入った。
さらにカントリーシンガー坂本愛江さんのショーも、意外な展開となった。夜のショーだし、もし子供が飽きたらすぐに退席しようと、ドルフィンホールの2階の端に席をとった。けれども子供たちは最後まで真剣な表情でステージを見つめていた。迫力のステージは、年齢に関係なく人の心を打つのだと、改めて感じ入った。
そもそもにっぽん丸なじみのエンターテイナーは、ショー慣れした面々が多い。彼らは「とりあえず観に行こうか」という一見客たちをも虜にする術を持つ。誰もが知る曲を織り交ぜ、乗客をおいてきぼりにすることはないのだ。改めてにっぽん丸のエンターテイナーの実力を感じる一夜となった。